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書評:気になる1冊1223<東京人tokyojin 2019年8月号>

「東京人tokyojin 2019年8月号」(都市出版株式会社 定価:930円)


 本誌は,東京をテーマにした月刊誌である。今月号のキャッチコピーは「野球もバスケットも東京から始まった」で,プロ野球の大谷翔平選手,プロバスケットの八村塁選手,プロサッカーの久保建英選手が,すぐに頭に浮かんだ。3人が東京と関係しているかどうかは全く知らないが...。現在,某TVで2020年オリンピックの盛り上げを意識したドラマが放映されているが,そんなことも意識したのか今号の特集は,「オリンピックまであと1年!近代スポーツことはじめ」である。

 東京から始まったということで,<発祥の地>では「ひしめく神田・茗荷谷周辺を歩く」で,日本野球発祥の地,東京YMCA会館,講道館柔道資料館,日本サッカーミュージアムなどを紹介している。<はじめて物語>では「発展の影にこの人あり(フレデリック・W・ストレンジ)」,「海外からやってきた競技(野球,ゴルフ,テニス,バレーボール,サッカー,バスケットボール,バドミントン,卓球,ラクビ―)」,「さきがけは学校から(1896年第一高等学校の野球部,註:野球好きで知られる正岡子規(正岡昇)は東京大学予備門なので登場しない)」と,「そうか!」と知らなかったことがよくわかる。

 また,1964年と2020年を比較!「オリンピック施設のここが違う」,オリンピックとともに歩んだ日本のスポーツ史「東京2020への道のり」,座談会「テクノロジーが,牽引するパラリンピック」白井二美男(技師装具士)×久木留毅(国立スポーツ科学センター長)×及川晋平(車いすバスケットボール日本代表ヘッドコーチ),生涯スポーツのパイオニア「加納治五郎」と充実している。

 さらに,「進化を続けるスポーツ用具(マラソンシューズ,軟式野球ボール,野球グラブ,競泳水着)」,インタビュー「スポーツとともに,健康で豊かな暮らしを」スポーツ庁長官鈴木大地,記憶に残る言葉「記憶に残る名言集(そだねー,前畑がんばれ!,我が巨人軍は永久に不滅ですなど,誰が言ったか分かりますか?)」,東京都江戸東京博物館「浮世絵で見る大江戸スポーツ事情」も,読み応えがある。

 そして,林家正蔵「蓮池のそばでれんこんづくし」も楽しく,赤坂人物散歩「吾妻徳穂」や追悼「東京人,ドナルド・キーン」なども味わい深い内容である。(H&M)