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書評:気になる1冊1224<管理職のための学校経営R-PDCA>

佐古秀一著「管理職のための学校経営R-PDCA」(明治図書 本体:2000円)


 学校経営でも,教育課程でもPDCA(計画・実施・評価・改善)が一般的であった。が,最近は,本書の書名のように「学校経営R-PDCA」のように,Rが付くようになった。

 言うまでもないが,Rは,Researchの頭文字で「探し求める」を語源とし,探究,研究,学術調査,市場調査などの意味である。学校経営や教育課程,教育活動では,「下調べ,下準備,準備のための調査」などの意味で使われることが多い。つまり,いきなり「PDCA」の「P」に取り掛かるのではなく,その前に「R(準備のための調査,情報収集,CAを含めた学校評価等の結果)」を十分に整え,活用すべきであるという主張である。

 本書は,とかく個業になりがちで,優秀な教職員が個々バラバラに精励していることに着目し,チーム学校として,目的・目標,内容,方法などを共有し,協働して実現していくにはどうすべきかを,管理職の視点から論じ,具体的に提言し,実際例まで示している。

 具体的には,第Ⅰ部では学校組織がチーム学校として課題解決に取組めない構造的な問題点と原因の解明,第Ⅱ部では新学習指導要領の実現などを視野に,学校改善に向けた管理職の「ビジョン形成」などのポイントや具体策,第Ⅲ部では明るく「元気で」前向きな学校を構築するためには,どのように進めたらよいか方法を示している。

 教師には「当たり前のことを当たり前にする」ことが強調されているが,個々の教師の力量を超えた問題には対応できなくなる弱点に着目し,「子供の実態を把握」し,「育成すべき子供像(資質・能力)」を明確に理解し,「チーム学校」として実行していく際のポイントやアルゴリズムを解説している。

 管理職(校長,副校長・教頭)や学校経営に参加・参画するミドルリーダーに参考になる1冊である。(H&M)