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書評:気になる1冊1227<教育展望2019年7・8月合併号>

「教育展望2019年7・8月合併号」(一般財団法人教育調査研究所 本体:448円)


 30年来の友人が表紙デザインをしていることから,毎号本誌を「表紙から裏表紙」に至るまで隅から隅まで読むことを常としている。

 ところで,しばらく前から「人間対AI」が話題を呼び,学校教育でも本気でAI対応策を具体的に展開する必要があると危惧されている。今月号の特集は,この状況に正対するもので,「AI時代の教育―AI時代に身に付けたい資質・能力―」である。

 AIを過大視せず,かと言って必要以上に恐れず,適切に対応するためにはどうするかを具体的に考え,対策を講じる時が切迫している。内容は,次のように構成されており,教育委員会も,教育研究所・研修所も,学校・教員も,児童生徒の発達課題を考慮しながら「AI対応」について考え,具体的に行動する際のヒントとして役立つ内容である。

 広島大学教授木島正明「AI時代の教育にはどのような視点が必要か」,文科省初中局財務課長合田哲雄「AI時代の教育などと浮足立たずに,教職の専門性を高めるために」,OECD教育・スキル局政策アナリスト浅見寛子「2030年,子どもたちに求められるコンピテンシーとは~OECD・Education2030プロジェクトの進捗状況~」,岡山大学教授寺澤孝文「高精度ビッグデータを活用した新型Eラーニング―学力低位層の学力・意欲を確実に向上させられる―」,埼玉戸田市立戸田第二小学校長小髙美恵子「AIロボットを使った英語授業」,神奈川県相模原市教育員会指導主事渡邊茂一「相模原市におけるプログラミング教育の取組と実践事例(中学校)」と,理論から実際まで多様な視点から展開されている。

 また,連載のわたしの教育実践「中学校国語科における中大連携ならびに横断型授業の構築」群馬大学教育学部附属中学校,提言「学校の働き方改革に高い壁」名古屋大学准教授内田良,教育フォーカス「ICTは学びのマストアイテム」教育ジャーナリスト渡辺敦司,ビューポイント「子どもたちの夢や希望をかなえる基礎づくり」徳島県徳島文理小学校長長井明福と,多くのことを学べる。(H&M)