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書評:気になる1冊1231<ドナルド・キーン自伝・増補版>
ドナルド・キーン著,角地幸男訳「ドナルド・キーン自伝・増補版」(中公文庫 本体:886円)
著者は,生涯にわたって日本文学を深く研究し,それを世界に紹介した文化功労者で,読売文学賞,毎日出版文化賞,2008年文化勲章など,その功績は高く評価されている。日本文化をこよなく愛し,深く研究し続けた著者は,2011年3月11日東日本大震災を契機にコロンビア大学を退職し,日本国籍を申請し,2012年3月8日日本国籍を取得し,以降,日本に永住した。
著者の足跡は,終の棲家とした柏崎市の「ドナルド・キーン・センター柏崎」で閲覧・鑑賞できる。
本書は,初版の「ドナルド・キーン自伝」に,「日本国籍取得決断の記」と三島由紀夫など「六〇年の月日と終生の友人たち」を追補したもので,次のような構成になっている。外から見たら日本の文学や文化はどのように見えるのかを知って,日本文学や文化を改めて見つめ,当事者の日本人のありようを考える一助にしたいものである。
第1章「ニューヨーク郊外,少年時代・9歳,ヨーロッパへの船旅など」
第2章「日本研究へ,自分の運を信じる・1947年,ハーバード大学に遍参など」
第3章「国際ペンクラブ東京大会・1957年,ニューヨークの三島由紀夫など」
第4章「百代の過客から,初の伝記「明治天皇」へ,日本のこころと足利義政など」(H&M)