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教育研究所
書評:気になる1冊1232<100字小説>
北野勇作著「その先はどうなる!?じわじわ気になる(ほぼ)100字小説」(キノブックス 本体:1000円)
著者は,SF作家である。100字前後の超短編小説を執筆して,2015年以来ツイッターで発表し続け,このほどその1000編余りの中から130編を選んで本書を上梓した。
100字程度で「本当に小説が表現できるのか?」と半信半疑で読んでみた。巻頭で,「小説はクイズでも試験問題でもないので,正解は必要ないんです<使用上の注意>」と,保険をかけているように,様々なタイプの小説を味わうことができる。超短編小説なので,読者は(勝手に)行間を自分流に「創作して」楽しむことができる(!?)。
小説が100字なら,目次は10字で紹介すると,「あの路地を通るのを怖」「学校のプールに何か」「青空に,ぽんっ,と蓮」「不法撤去されたブロック」「火事があってから何週」「標識が増えたなあ。」「泥のように眠りながら」「もれああああああああ」「ひさしぶりに前を通る」「謎の式典に行かねばな」など。
また,同著者の「この世界は何だ!?じわじわ気になる(ほぼ)100字小説」もあり,内容は「滑り台として使う...」「勇敢な人間たちは武器」「ぼくたちは黄昏テレビ」「駅だ。誰かが言った。」「火星を目印にすれば複」「コンセントがあるのに」「暗闇で何かを落とした」「雨がしょぼしょぼ降る」などを収めている。
もしかしたら,小説を書いてみたい人(大人に限らず子供も)が,気に入った短編のどれかを基にして,自分流の小説を書くヒント(ネタ)にすることも考えられる。(H&M)