ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:気になる1冊1233<初等教育資料2019年7月号>
教育研究所
書評:気になる1冊1233<初等教育資料2019年7月号>
「初等教育資料2019年7月号」東洋館出版社 定価540円(税込)
今月号で特集より前に関心を持ったのは,特別インタビュー「文部省こどもの教育応援大使香川照之さん」で,中学校時代の国語の先生の思い出など"先生の影響は大きい",先生には"子どもたちを前のめりにする授業"を期待し,"学校で学んだことが10年,20年後まで子供たちの中に残って欲しい"ので,そういう教育を学校教育に期待したいと語っている。然りである。強く心にとどめ,教室の中でそうなるように努めたい。
Interview・子どもと教育・巻頭言「数学的な見方・考え方を働かせる算数の授業とは」元横浜国立大学教授・元文部省教科調査官片桐茂男は,1950年代の頃「算数数学教育の現代化」で,小学校算数科に「集合」が取り入れられたことに関連して,「新しい問題にぶつかったら,前にこれと似たようなものをやったことがないかということをまず考える子にしたい」と語っている。実は,片桐先生は,元東京都立教育研究所数学研究室の指導主事をされていたことがあり,そのころ研究した「数学的な考え方とその指導」は今や,数学教育を学ぶもの,算数数学を指導する教師のバイブルになっている。私もその一人である。
さて,いくら学習指導要領で「プログラミング教育」が必修になっても,「具体的にどのように進めたらよいか分からないよ?」というのが,密かに囁かれている現状である。今月号の特集Ⅰは,この学校現場の悩みに応えて,「論理的思考力等を育むためのプログラミング教育の在り方」を取り上げている。熟読(クリティカル・リーディング)して,自校流のプログラミング教育の指導計画と授業展開に役立てていただきたい。
論説「小学校におけるプログラミング教育の考え方と実際」堀田龍也,解説1「小学校におけるプログラミング教育の考え方」文科省情報課課・外国語教育課,事例1【国語科】「主語と述語に気を付けながら場面に合った言葉を使おう」西田太郎,事例2【社会科】「ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう」菊地めぐみ,事例3【算数科】「プログラムを使って正多角形をかこう」増本敦子,事例4【理科】「電気を無駄なく使うにはどうしたらよいか考えよう」松田暢元,事例5【音楽科】「くりかえしを使ってリズムをつくろう」国則佳代,事例6【図画工作科】「プログラミングで動く工作をつくろう」大畑佑之,事例7【家庭科】「家族と食べる朝食を考えよう」望月裕美子,事例8【総合的な学習の時間】「久留米まちおこしプロジェクト―久留米周遊プランをつくろう―」名切太志,解説2「小学校におけるプログラミング教育の推進」文科省情報課課・外国語教育課,事例9「相模原市教育委員会の現状と取組」渡邊茂一,事例10「産官学民との連携で進める戸田市のプログラミング教育」川和田亨と,学ぶべきことがたくさんある。
また,特集Ⅱは,「他教科等との関連を意識し,指導の効果を高める生活科の在り方」で,解説論説事例1~4で,こちらの役立つ情報が詰まっている。(H&M)