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教育研究所
書評:気になる1冊1236<新しいつながりの経営モデル>
國部克彦・西谷公孝・北田晧嗣・安藤光展著「創発型責任経営―新しいつながりの経営モデル」 日本経済新聞出版社 本体1800円
本書は,CRSやSDGsなどの課題に応え,経営を革新するためには,新しいつながりの経営モデルとしての「創発型責任経営」が必要であると,理論と事例と実践の3つの側面から提案するものである。
CRSとは,Common Reporting Standardの略で,共通報告基準(経済のグローバル化が進み,外国の金融口座を利用した国際的な脱税や租税回避に対処するためにOECDが制定した)のことである。SDGsとは,Sustainable Development Goalsの略で,2015年に国連で合意された世界共通の持続可能な開発目標で,「1貧困をなくす」「2飢餓をゼロにする」「3人々に保健と福祉を」「4質の高い教育をみんなに」など17の目標と,169のターゲットを定めたものである。また,創発型責任経営とは,「無限責任の考え方に基づき,社員による主体的な活動を奨励して,創造的な実践を生み出す経営」と定義され,従来のCRSやADGsの課題を超えて,新しいつながりを創り出す経営手法のことである。
利潤追求の企業と,子供の資質・能力を高める学校とでは,その哲学も手法も異なる面が少なくないが,本書の「新しいつながりを求める」経営は,学校経営(=円滑な学校運営+質の高い教育活動)を進める上で,多くのヒントが得られるに違いない。
内容は先進的企業の具体的な事例を基に,「責任が価値を生む経営」「アカウンタビリティからレスポンシビリティとしての責任へ」「創発型経営への転換」「オムロンの企業理念実践活動」「ブリジストンのOur Way to Serve」「丸井グループの手を挙げる組織づくり」「ヤフーの課題解決エンジン」「三菱重工グループの"き・ず・な活動"」「創発型経営のデザイン」「創発型経営のプロセス」「創発型経営でADGsに挑戦する」「創発型経営の効果」で構成で解説されている。(H&M)