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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その466
佐渡島庸平著「僕らの仮説が世界をつくる」(ダイヤモンド社 本体:1300円)
著者は,会社の代表取締役(経営者)であり,本を刊行する編集者でもある。
電話や自動車,飛行機,新幹線,宇宙船,TVなど,最近ではスマホやインターネット,パソコンなども「たった一人の『仮説』から生まれた」と,誰かが「こうなるはずだ」「こうするとみんながハッピーになるぞ」と思い描いた大胆な「絵(仮説)」から世界が作られていく。「その『誰か』とは『あなた』のこと」であるというのである。また,最近,日本人は本を読まなくなり,出版業は不況である。これは,駅前や町中の書店の閉店,教育書や児童書コーナーの縮小や廃止にはっきり出ている。これは,作品の質が低下したのではなく,本について語る習慣がなくなっているせいではないか? そこで著者は,「ITを使って心的距離を縮め,感情を謝するサービスを生み出せば,同じ趣好の人々が集まるコミュニティが生まれる。そうすれば,作家は,誰にも読まれないかと怯えることなく,作品を創れるようになる」と言う「仮説」を持っているそうだ。(はしがき&はじめにの要約抜粋)
内容を読んだ感想より,本書の構成を紹介し,経営者として,編集者としてヒットを飛ばしつつある著者の「仮説」の作り方をイメージしてもらおう。
構成は,「はじめに・大航海時代が始まった」,第1章「ぼくらの仮説が世界をつくる―革命を起こすための思考のアプローチ(8つの仮説の作り方)」,第2章「宇宙人視点で考える―本質を見極め常識を打ち破るための思考法(11の仮説の作り方)」,第3章「インターネット時代の編集力―モノが売れない時代にぼくが考えてきたこと(9つの仮説の作り方)」,第4章「ドミノの1枚目を倒す―遠くのゴールに辿り着くための基本の大切さ(7つの仮説の作り方)」,第5章「不安も嫉妬心もまずは疑う―先が見えない時代の感情コントロール(6つの仮説の作り方)」,第6章「仕事を遊ぶトムソーヤになる―人生を最高に楽しむための考え方(8つの仮説の作り方)」,「おわりに・仮説を実現する冒険に出よう」となっている。
本書の内容を,クリティカルリーディングして学校現場流に読み替え,かつクリティカルシンキングして,来る学習指導要領の改訂の後に怒涛のように押し寄せる教育課題に立ち向かいたいものである。