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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その526
峠三吉作「原爆詩集」岩波文庫 (岩波書店 本体:480円)
昭和20(1945)年8月6日広島に,9日長崎に原子爆弾が投下され,多くの命が奪われた。自らも広島で被爆した作者が,その悲惨さと不当性と非人類的行為に「ちちをかえせ ははをかえせ」と訴えた詩集である。何の目的で誰が投下したのか,投下にかかった人を責めるとか,と言うような次元の低いことを訴えているのではない。戦争や原子爆弾に対する激しい抗議と平和への強い思いを訴えているのである。
オバマ大統領が広島を訪れて話題になったが,過去を振り返らず(過去に原爆投下をした国と人を責めることなく),現在と未来を見つめ,核兵器廃絶と世界平和を訴えた被爆者の崇高な気持ちに感動した。岩波文庫に収録されたこの機会に,ぜひ手に取って,味わっていただき,平和とは何かについて考えていただきたい。
「序(ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ・・・)」「八月六日」「炎」「眼」「としとったお母さん」「ちいさい子」「友」「微笑」「一九五〇年の八月六日」「呼びかけ」「その日はいつか」「希い」など25編の詩。「あとがき」「解説1大江健三郎「原爆詩集」を読み返す」「解説2アーサー・ビナード(ラジオ特別番組の「オバマ大統領の演説」の同時通訳者) 日本語をヒバクさせた人」。