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書評:小島宏の気になる1冊その633

中央公論新社編「考えるマナー」 (中央公論新社 本体:600円)

 Mannerとは,礼儀作法である。では,考える(Thinking)礼儀作法(Manner)とはどのようなことなのか。よい考えをひねり出すために何か礼儀作法(≑アルゴリズム)でもあるのだろうか? 読み進めると,様々な状況の中で,うまい方向に展開する,相手を傷つけず,自分の心にもあまり逆らわずに,さしさわりなくその場を丸くおさめるためのManner(礼儀作法)であることがすぐにわかった。

 「座を温めるマナー(穂村弘,平松洋子など)」,「美を匂わすマナー(三浦しをん,井上荒野など)」,「お口を滑らせないマナー(劇団ひとり,鷲田清一など)」,「愛が生まれるマナー(髙橋秀実,劇団ひとりなど)」,「逃げて勝つマナー(佐藤優,町田康など)」,「ベタを粋にするマナー(三浦しをん,平松洋子など)」,「ステキなお客様のマナー(赤瀬川原平,楊逸など)」,「丸くおさめるマナー(穂村弘,劇団ひとりなど)」,「食は一大事マナー(三浦しをん,津村記久子など)」,「日本が宿るマナー(楊逸,鷲田清一など)」,「乗り降りマナー(津村記久子,井上荒野など)」,「のどかに生きるマナー(髙橋秀実,穂村弘など)」,「旬をつかむマナー(赤瀬川原平,楊逸など)」,「生み出す人のマナー(劇団ひとり,町田康など)」,「こころを澱ませないマナー(三浦しをん,津村記久子など)」,「世渡りのマナー(佐藤優,鷲田清一など)」,「悟るマナー(井上荒野,町田康など)」,「マナーの難問(穂村弘,赤瀬川原平など)」と,117のテーマについて12人の著者が多種多様の視点から2ページ程度で著している。軽く読み進めながら,結構学ぶことが多い。