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書評:小島宏の気になる1冊その659
早勢裕明・算数科「問題解決の授業」の日常化を考える会編著「こうすればできる!算数科はじめての問題解決の授業~100の授業プランとアイディア」 (教育出版 本体:2500円)
問題解決の授業をしようとすると,教科書を机の中にしまわせて,学習シートを使っての学習活動をさせることになる。一方,教科書を使っての授業となると,教師主導の説明&教え込みの「今日の授業は,先生がずっと話していたので,眠かった」(本書「おわりに」の児童の感想)ということになりがちである。
本書は,教科書を活用しながら「問題解決の授業」を展開することを提案(実現し日常化)した,大げさな言い方をすれば「目から鱗の1冊」である。算数科「問題解決の授業」の日常化を考える会に対して,真摯な研究活動に頭が下がった。
内容は,Ⅰ:理論編「ポイント1「本時の目標」を十分吟味する,ポイント2「本時の目標」と「まとめ」を正対させる」など11のポイントを示し,問題解決学習にするコツを具体的にし増している),Ⅱ:実践編「実践事例を1学年18事例,2学年18事例,3学年17事例,4学年17事例,5学年18事例,6学年13事例,合計100事例」で構成されている。
理論編では,算数科の「問題解決の基礎理論」を学ぶことができる。実践編では,各学年の各学年・各単元の重要な部分について,◆Before課題→問題すなわち「復習→課題提示→問題把握→見通し→自力解決→全体交流→まとめ→練習」,そして◆After問題→課題すなわち「問題提示→試行錯誤→課題把握→個人思考→集団解決→まとめ→練習」の具体的な展開のモデルについて学ぶことができる。
これを実施してみる,参考にして少しアレンジして実施する,クリティカル・シンキングをして自分流を探るなど,様々な活用が考えられる。新学習指導要領を読み込み,これを超える算数授業を求め続けたい。