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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その670
成瀬 仁 著「チェックリスト学級担任の危機管理」 (教育出版 本体:1900円)
子供の危機管理と言えば,「生命と身体」が重視されるべきで,これに優先するものはない。教育出版教育研究所の教育情報シリーズ89「学級担任の危機管理」(10年ほど前に発行)では,「1.生命と身体の安全,2.いじめとトラブル,3.人権尊重,4.個人情報,5.学力,6.保護者対応」を僅か8ページで解説していて,結構重宝した。
本書は,これを大きく超える実用的な「学級担任の危機管理」である。序章「学級経営における柔軟性と信念」に続き,Ⅰ「いじめ(36項目)」,Ⅱ「保護者対応(35項目)」,Ⅲ「日常の授業づくり(74項目)」,Ⅳ「給食の時間(13項目)」,Ⅴ「休み時間(5項目)」,Ⅵ「事務処理(19項目)」,Ⅶ「服務・勤務(6項目)」,Ⅷ「心の安定(11項目)」,終章「理想を生かす戦略力を高める」という内容で,学級担任必携の書である。
特に,目次が工夫されている。目次が,チェックリストになっていて,Ⅰ~Ⅷの内容について,目次で自分の学級経営について自己評価することができる。そして,その項目ごとに,本文で,危機管理の考え方と具体的な指導・対応及び留意点などが,「チェック項目の内容」&「その指導,対応の要点」&「この項目のポイント」が,簡潔・明確に解説されていて,若手教師にも十分に理解できる。
著者は,「...こんなところに危機意識がありますか?」と問いかけ,その中に「日常の授業づくり」を含め,質の高い学力(新学習指導要領流にいえば,資質・能力の3つの柱に対応した学力)を取り上げていることが,学校・教師の責務を改めて再確認させてくれる。