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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その698
田中耕治・石井英真・八田幸恵・本所恵・西岡加名恵共著「教育を読み解く―教育学的探究のすすめ」 (有斐閣 本体:1500円)
本書は,高校生に「研究とは何をどうすることか」を,大学生に「教育を研究する面白さは何か」を,新任教師に「教職の深さとは何か」を,学んで欲しいと期待して編集したものである(「はじめ」より)。したがって,本書は,教育について,様々な視点から比較的平易に説いたもので,とても参考になる。
1講次「探究的学びのすすめ(高校の勉強と大学の学びの違いなど2章)」,PartⅠ「教育問題の問い方」2講次「早期教育―何ごとも早い時期から教えたほうがよいのか?(早期教育の盲点など3章)」,3講次「学力低下―ゆとり教育は学力低下を招いたのか?(学力低下問題の真相など3章)」,4講次「いじめ―道徳教育でいじめ問題は解決できるのか?(いじめの構造など3章)」,5講次「個性尊重―日本の授業は画一的か?(個性と個人差など4章)」,6講次「格差―本人の努力の問題か?(格差問題にどう立ち向かうかなど3章)」,PartⅡ「探究の営み」7講次「問いを立てる―テーマの見つけ方(探究の第一歩など2章)」,8講次「調べる―文献・資料調査(本の読み方など3章)」,9講次「フィールドに行く―現実を捉える方法(研究のデザインなど4章)」,10講次「学び合う―議論するためのスキル(学び合いとしての議論など4章)」,11講次「深める―問いを立てて崩し,つくり直す(問いの最構成など3章)」,12講次「論じる―探究の総仕上げとして(レポートと論文の違いなど4章)」,PartⅢ「教師をめざすあなたへ」13講次「教師の仕事(教科指導から探究を生み出す教師の仕事など5章)」,14講次「授業を創る教師の力(授業を分節化して考えるなど4章)」,15講次「教わる立場から,教える立場へ(教わったように教えることを自覚するなど4章)」,「コラム(情報収集のアンテナを張る,深い学びとは何か・高い・深い・広いなど13編)」と,充実している。ベテラン教師にも,これまで積み上げてきた豊富な体験を振り返り,再構成し,再挑戦していくヒントが得られる1冊である。