ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その671

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その671

谷原 誠 著「あらゆる人間関係を改善する!夢をかなえる質問」(PHP研究所 本体:1600円)

 小学校高学年になったのに,中学生になったのに,「...こんな事も出来ない」「...言い訳をしないですぐやって!」「なんで...」と,いうことで言い争いになることが多く,一向に改善されず,イライラすることが少なくない。孫や子供は無条件に可愛いからお互いに喧嘩ごっこを楽しんでいる面もあるが...。

 本書は,ベテランの弁護士の質問のテクニックを真似てみると,「仕事や家族,恋愛などの悩みが解決する(解決しやすくなる)」というものです。実際に読んでみて,なるほど,同じことを求めているのに「自分流では失敗」し,「谷原弁護士流ではうまくいく」ということが実感できた。

 第1章「家族に質問してみよう」(学校に行きたがらない息子,子育てを手伝わない夫など6ケース),第2章「友人に質問してみよう」(なぜか会話が盛り上がらない友人,建設的な議論ができない知人など5ケース),第3章「仕事関係者に質問してみよう」(なぜか自分を避ける同僚,企画を認めてくれない上司など5ケース),第4章「自分に質問してみよう」(他人のせいにしてしまう自分,目標を達成したいがすぐ挫折してしまう自分など5ケース)という構成で,「まずい質問の例」と改善のポイントに加え,「このようにしたらうまくいくよ!」という「改善した質問の例」の両方が示してあり実に分かりやすい。

 ところで,教師は授業で毎時間多くの発問(わかっている教師が,まだわかっていない子供に質問すること)をする。発問の適否が,子供の考えや気づきを引き出したり,何をどうしたらいいか取り組んだりする「意欲的な子供」の育成に大きく係わる。本書を参考にして,「発問」の質の改善に取り組んでみましょう。