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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その699
「月刊教職研修2017年6月号」 (教育開発研究所 本体:954円)
いじめが要因になっている事案の報道が,依然として続いている。ということは,いじめによって苦しんでいる子供は少なくないという事実があるということである。そして,その裏には,いじめをしている子供,いじめに曖昧な態度を取り続けている「おとな」「学校・教職員」「教育委員会」「関係諸機関」「地域社会」がいるということである。
本誌の今月の第1特集は「いじめ対応,何がうまくいっていないのか―文科省「いじめ基本方針」改訂,「重大事態ガイドライン」策定を受けて」である。その内容は,文科省児童生徒課<解説>「いじめの防止等のための基本的な方針の策定・重大事態の調査に関するガイドラインの策定」,「現行のいじめ対策の,何が不十分なのか➀飯野眞幸・地方公共団体レベルのいじめ対策の振り返り,②新井肇・学校レベルのいじめ対策の振り返り」,橋本治一「いじめ対策見直しのためのチェックリスト20」,水地啓子「最近のいじめ事件対応に学ぶ」,「いじめ対応体制の検証➀松田素行・教員の多忙といじめ防止体制,②福田ますみ・いじめられたと言えば,いじめでよいのか」と,充実している。関係者の「いじめ対応」の振り返りの下敷きにしたいものである。
第2特集は「新学習指導要領成否の鍵を握る「校長・教員等の資質向上」制度はどう変わるか」で,文部科学省「教育公務員特例法改正のポイント」,牛渡淳「求められる校長の資質の向上に関する指標,研修計画は」,加藤崇英「求められる副校長・教頭の資質の向上に関する指標,研修計画は」,倉見昇一「求められる行政研修は」,柳澤尚利「教職員の多様なキャリアパス予想」と,その通りではある。が,管理職と教員に丸投げしている感がぬぐえない。英語教育の時数確保が難しければ総合的な学習の時間で扱ってよいとか,教科等の特性を横において目標を同じ構造とするなど,「無理が通れば道理引っ込む」に似たり...と思ってしまった。学校現場は,新学習指導要領の解説に期待している。
この他,学校マネジメント・学校経営(保護者が考えるトラブルを生まない学校経営,今月の学校経営の配慮事項・講話など),管理職の資質・能力(私の学校経営信条,実践に学ぶ!校長のリーダーシップ論など),教育時事(管理職のためのいまどきのスマホ・ネット情報,教育ニュースPick up等)なども充実している。