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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その701
林泰成・白木みどり著『人間としての在り方 生き方をどう教えるか―小中高12年間を通した道徳教育・キャリア教育』 (教育出版 本体:1800円)
本書は,フリーターやニートが,社会・世間や学校教育の話題になっていた数年前に発刊されたものである。現在,新学習指導要領の趣旨徹底,移行期間,全面実施(平成32年度小学校,平成33年度中学校)という流れで進んでいる。新学習指導要領では道徳科(平成27年3月)となり,キャリア教育の充実とともに重要課題になっている。
改めて,本書を読んでみると,むしろ現在にぴったりのテーマであるような気がする。今後,道徳科とキャリア教育の在り方を考え,計画し,実施していく「下敷き」として役立つと思われる。引用されている学習指導要領は「平成10年度版」と「平成20年度版」であるが,これに「平成29年3月31日告示版」を加えて考察することをお勧めしたい。(なお,平成20年と平成29年を比較した「小学校学習指導要領新旧比較対照表」教育出版2017年5月 本体1200円がある)
本書で,人間としての在り方と生き方,小・中・高校における道徳教育はどのような考え方で進められているか,キャリア教育は人間としての在り方と生き方にどう関わっているか,キャリア教育と進路指導の関わり,道徳教育はキャリア教育とどう関わるのかなどについて,現代社会の状況と関連させながら丁寧に考察している(カタカナ語が多用されているので,私は傍らに電子辞書を置いて,確認しながら読み進めた)。
新学習指導要領の下で,道徳教育の全体計画及び年間指導計画を作成し,道徳科の授業を実施し,その評価をするのであるが,やがて文科省から示される「学習指導要領解説」と併せ読み,自校流(自校の児童生徒や学校,地域等の実態・実情に配慮した)のものを作成し,進めることにつなげる必要がある。