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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その674
神吉直人著「小さな会社でぼくは育つ」(インプレス 本体:1500円)
日本の企業は,実は,99.7%が中小企業だという。これは,規模で言えば学校に似ている。そんなことで,ぼくが「小さな会社で育つ」ことの意味と方法は,教師が「学校で育つ」ことに通じるものがあるのではないかと思う。
著者は京都大学出身,専門は経営組織論で経済学博士,研究の傍ら合気道の稽古にも熱心で,本書の書き振りに人間味を感じた。合気道の指導者内田樹(フランス現代思想家・武道家)は,本書を「神吉君は人からものを習う達人である。これは若い人に仕事の話を教える本だけれど,神吉君はここでも<教えること>を通じてぐいぐい新しいことを学んでいます。すごい」と推薦している言葉が,それを傍証している。
若手教員が,教育について,学習について,自分の生き方,人生,子供(教育)の関わり方などに疑問や悩みを抱いたとき,この中のどれかがそのことを自分なりに考え,自分なりに解決していくときのヒントになるかもしれない。
第1章「小さな会社で働くと決めた(中小企業といってもそれぞれ,社長との距離がかなりちかい!,猫の手を借りたいときに猫に餌をやっていられないよねなど10節)」,第2章「基本姿勢と言われても......(当たり前をするって難しい,まずは身に付けたい事ってなんだろう,しっかりメモを取るって超重要!など7節)」,第3章「仕事が遅いのをなんとかしなくちゃ(まず仕事の優先順位を考えてみよう,仕事の全体像エオ把握しよう,ほんの少し周りに興味を持ってみるなど12節)」,第4章「忙しい先輩たちとうまくやれるのか?(指示待ち地蔵にならない,急なときにおどおどバタバタしないために,小さなことからコツコツとな14ど節)」,第5章「みんなに迷惑をかけたくないな......(自分の今の状態をきちんと伝える,早めの伝達早めのSOSなど7節)」,第6章「慣れてきたときが落とし穴!(経験することで成長する人になる,考え続けることで学ぶことなど12節)」,第7章「いつかはぼくも先輩になる(リーダーシップってどうやるの?,人に教えることで育つもの,とにかく一人で抱え込まないなど9節)」という構成になっている。内容の見当がおおよそつくと思う。