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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その702

「中等教育資料平成29年6月号」(学事出版 本体:640円)

 学校現場で,どうも今一つ理解しにくいのが,「カリキュラム・マネジメント」である。開かれた教育課程,教育課程のPDCA,カリキュラム・マネジメントと並べられても,読み手の読解力不足と言われそうであるが,頭の中が整理できないのである。

 本号では,特集「カリキュラム・マネジメントを通じた学校教育の改善・充実」を組んで,解説「教育課程を軸に学校教育の改善・充実を生み出すカリキュラム・マネジメントの実現(カリキュラム・マネジメントの重要性,学校教育の改善・充実に好循環を生み出すカリキュラム・マネジメントについて具体的に説明)」文科省初中局教育課程企画課,論説「教育課程を軸に学校に好循環を生む―カリキュラム・マネジメントの実践に向けて―(総則とカリキュラム・マネジメント,学校に好循環を生む,我が校の教育課程を全教諸君が語るなど,実践に当たって目指す方向と課題の解明)」千葉大学教授天笠茂,座談会「次期学習指導要領に向けた座談会3―未来社会を切り拓く子供たちと 次期学習指導要領―(中教審の中等教育の議論に関わった委員による新学習指導要領の展望)」市川伸一/荒瀬克己/榎本智司/宮本久地/今村久美/浦野光人/平野誠と,学校現場の戸惑いに応えようとしている。

 また,各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動(進路指導)について,「各教科等の改善・充実の視点」が,教科・教育課程調査官によってコンパクトに示されている。内容は,例えば,数学「全国学力・学習状況調査の結果を基にした中学校数学科の指導の改善」「これからの数学教育」,情報「情報教育の充実に向けて」,道徳「特別の教科道徳の内容について」,総合的な学習の時間「総合的な学習の時間の改善・充実に向けて」,特別活動(進路指導)「キャリア教育の一層の充実を求めて」などである。

 他には,窓「数学のよさ」視学官長尾篤志,教育小景「統計教育に思うこと」明治大学専門職大学院選任教授戸谷圭子,特別支援教育コーナー「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」特別支援教育調査官萩庭圭子,なども短編だが新鮮で印象に残った。