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書評:小島宏の気になる1冊その679

100年インタビュー制作班編「小澤征爾 指揮者を語る―音楽と表現」 (PHP研究所 本体:1200円)

 国際的指揮者小澤征爾について知らない人はいない。にも関わらず,その人となりについては意外と知られていない。

 本書は,アナウンサー有働由美子がインタビューし,小澤征爾に語り尽してもらおうと企画したもの(2009年6月25日NHKBSハイビジョン「100年インタビュー・指揮者小澤征爾」から構成したもの,編集協力:水野恵美子)である。

 プロローグ「ウイーンの国立歌劇場より」,Part1「音楽監督という立場」(音楽監督として,オペラの魅力とは,半世紀の挑戦を語る,ウイーン街歩き),Part2「サイトウ・キネン・オーケストラへの想い」(サイトウ・キネン・オーケストラとは? 斎藤秀雄の教え,更新を育てる,「個」の重要性,ウイーン国立歌劇場の裏側・音楽監督室をたずねて),Part3「指揮者とは......」(いい指揮者とは,楽譜を読み解く,年齢を重ねて,音楽と表現),「100年後の皆さんへ」(100年後の皆さんに,是非解決してほしいことが2つ示されている。内容は,是非本書で...)という内容構成人っている。

 本当は,心身共に人一倍苦労したのに,普通の言葉で,淡々と語り,心に優しく染み入ってくる。私は,楽器はひけないし,音痴で歌は歌わないが,識者小澤征爾の後ろ姿を見ながらオーケストラの音楽に感動したことはたびたびである。直接,偉大な小澤征爾と対談しているような錯覚に陥り,至福の何時間かを過ごした。