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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その681
「月刊高校教育2017年5月号」(学事出版 本体:950円)
2020年からの学校教育を方向づける中教審答申(平成29年12月)や新学習指導要領(平成29年3月告示)を受けて,スクールマネジメント,カリキュラム・マネジメント(教育課程経営,教育課程のPDCA),目的的・組織的・計画的学校経営,チーム学校,教職員の経営参画・参加,校長のリーダーシップの発揮などが話題になることが少なくない。
平素は主に小学校に関心を持っているが,最近,月刊高校教育(2017年5月号)を読んだ。それというのも特集が「転換期における学校マネジメント」だったからである。
教育が変わろうとしている。この転換期に,学校を変えられるのは校長リーダーシップと,それを適切に実施していく教職員のメンバーシップによる。そこで,まず,校長の学校マネジメントの在り方(と言うより進め方)が問われることになる。
新学習指導要領の趣旨徹底を経て新しい学校教育を進めようとしているこの時に,内田樹氏は「指針を示せる者はどこにもいない」と断言し,高校生に「学ぶことへの謙虚さを持ち続けること」と「世界のあらゆる人々と協働できるオープンマインドであること」を提言している。また,高木晴夫氏は経営について「組織がある(目的があってそれを達成するために人が集まる)」「メンバーが目的を共有している(目的達成に向けて,目標を設定し協働する)」「社会的意義のあることをしている(自分の人生とともに社会づくりに参加できる人間を育てるという社会的責任を果たす)」という3つの命題を強調している。
さらに,堂徳将人氏は,変化する社会に応じて校長には,カリキュラム・マネジメントが必要だとし,従来のPDCAの前に,AimとResearch及びCollaborationを付けて,教育課程のA・R・C・PDCA(ARCPDCA?)とする役割を求めている。また,小芝一臣氏は,「主体的・対話的で深い学び(いわゆるAL)」による授業づくりやテストの得点を超えた学習評価を進めるために,教員に対する適切な指導・助言の役割を指摘している。