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書評:小島宏の気になる1冊その686

「総合教育技術2017年3月号増刊U-40教育技術vol.3」(小学館 本体:1204円))

 新学習指導要領では,アクティブ・ラーニングという言葉はなく,「主体的・対話的で深い学び」に置き換わっているが,その狙っていることに変わりはない。

 そんな意味で,「アクティブ・ラーニング Active learning」私はこう考える!こう実践する!を特集したことは,意味のあることである。

 巻頭提言&インタビューU-40代教育学者に聞く!「アクティブ・ラーニング実現のヒント」東京学芸大学教職大学院准教授岩瀬直樹「学習の個別化からアクティブ・ラーニングを考える」,京都文教大学准教授大前暁正「アクティブ・ラーニング時代にこそ問われる教師の授業力。若手とベテラン協働での授業づくりを」,京都大学総合博物館准教授塩瀬隆之「U-40世代こそ,アクティブ・ラーニング普及の中心的な存在」,続いて,連続寄稿・14名のU-40世代教師が語る理念と実践「アクティブ・ラーニング 私はこう考える!こう実践する!」,飯村友和「場面や目的に合わせ,子供に寄り添ったアクティブ・ラーニングを!」,伊垣尚人「学習ビーイングで子どもたちの「よくなりたい」という願いを引き出す」,井上大輔「子どもの人とつながる力を育む。アクティブ・ラーニングは,そのための手段です」,井上幸信「子どもたちが主体的・対話的で深い学びを広めることで,充実のALを実現したい」,金大竜「ALの実現は教師が変わることから!模索しながら方向性を探る中で教師が,そして授業が変わる」,佐々木陽子「ペア学習を活用し,子供に問いを強く持たせ,効果的に学びを深める」,鈴木夏來「アクティブ・ラーニングは新しい試みにあらず。自分を褒める事から始めよう」,久保齊「一斉授業で創るアクティブな学び―学校に予習文化を,予習展開による教育改革を」,大野睦仁「単元の授業構成から考えるーアクティブ・ラーニングを授業において,どう実現するか」,石川晋「アクティブ・ラーナーとして,子どもたちの前に立ち続けましょう」,アクティブ・ラーニング先行事例レポート岐阜市教育委員会「話合い,学び合いの教室「アゴラ」を全中学校に設置し,生徒のやる気を育てる」,須永吉信「アクティブ・ラーニングの型にとらわれず,教育技術の基礎基本習得を」,田中光夫「人と協力する力,学び続ける力を育てる,私の核になる教育」,西村健吾「アクティブ・ラーニングは,U-40世代教師に課せられた使命。温故知新で追及していきたい」,古橋祐一「目的と本質を共有し,アクティブ・ラーニングを広げるにはまず教員風土の改善から。」,細川隆弘「子供たちが楽しめる授業と家庭学習の自由化を通じて学習の在り方を変えていく」,松尾英明「答えのない問いに対する答えを求め続けること自体がアクティブ・ラーニングである」,弓削裕之「1つの汎用的な形にこだわらず,各教科等の特性に合った主体的・対話的で深い学びを模索する」という構成になっている。

 様々な視点・考え方に基づいた多種多様な主張や実践例提案である。じっくりと確認して,自分の目の前の子供の実態に応じた「主体的・対話的で深い学び」になるような授業づくりを期待したい。