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書評:小島宏の気になる1冊その691
中山七里監修・造事務所編著「名作明言・一行で読む日本の名作小説」(宝島社 本体:630円)
日本の名作に様々な所で出会った。「蜘蛛の糸(芥川龍之介)本書p72」は,小学校1年の時,担任の増田黎子先生に読んでもらった。「高瀬舟(森鴎外)本書p46」は,中学校の学芸会で井口一秀先輩が主役を演じた。「銀河鉄道の夜(宮沢賢治)本書p128」は東北旅行をした折,再読した。「坊つちゃん(夏目漱石)本書p150」は,高校生の時,雨降りの下宿で退屈まぎれに読んだ。などなど。
でも,作品名と有名な一節は知っているのに,未だ全篇を読んだことのないものが多くびっくりした。本書に目を通して,さわりを知っただけで,読んだふりをするのはやめて,全部読み切ってみようと思った(思っただけで,読み切るとはいっていません。政治家と同じ決意表明です!?)。
カラー口絵で15作品を紹介している。これだけ眺めただけでも得をしたような気になる。
パート1「愛(浮雲,暗夜行路など6作品紹介)」,パート2「欲(布団,真珠婦人など4作品紹介)」,パート3「本性(破戒,人間失格など7作品紹介)」,パート4「生きがい(五重塔,蟹工船,金閣寺など9作品紹介)」,パート5「友情(友情,山椒大夫など5作品紹介)」,パート6「運命(たけくらべ,雪国など6作品紹介)」,パート7「詩・随筆(武蔵野,君死にたまふこと勿れ,智恵子抄など6作品紹介)」と,43作品が紹介されている。
未読の作品の入門書としてお勧めするが,小・中学生には,直接作品を読むことを勧めた方がよいと思う。