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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その710

「総合教育技術2017年6月号」 (小学館 本体:1000円)

 新学習指導要領が告示されて早くも3か月余,新しい学年・学級等の指導が軌道に乗り出し,周知徹底に関心が向き出したころである。それに呼応したかのような特集で,思わず手に取り,読破した。

<総力大特集>は「ついに告示!新学習指導要領が求めるこれからの学校教育」で,次の3つの魅力的な構成になっている。

<巻頭言>文科省教育課程課長合田哲雄「新学習指導要領について―3つのポイントと改善の方向性」で,教育内容の改善,小中一貫した学び,今後のスケジュールと学習評価,条件整備と業務改善等について解説している。

<特集Ⅰ>教科・領域別ここがポイント!「教科調査官 徹底比較!」で,国語科(小学校・中学校),算数科・数学科(小学校・中学校),社会科(小学校・中学校),理科(小学校・中学校),英語活動・英語科(小学校・中学校),生活科・総合的な学習の時間(小学校・中学校)と,担当調査官の先生方が,新旧の比較,授業づくりのポイントなどについて解説してあり役立つ。

<特集Ⅱ>は「改定ポイント別 ここが変わった!新旧学習指導要領徹底比較!」で,「新旧徹底比較①前文で位置付けや方向性を明確化・総則の構成も大きく変化」,「新旧学習指導要領徹底比較②各教科の「目標」が資質・能力の3観点に即した具体的な記述に」,「新旧徹底比較③高学年での教科化ほか小・中学校を通じた外国語教育の充実」,「新旧徹底比較④プログラミング教育が小学校で必修化 各教科に関連内容が新設」,「新旧徹底比較⑤短時間学習(モジュール学習)など柔軟なカリキュラム設定が可能に」,「新旧徹底比較⑥各教科で日本の伝統と文化に関する内容の充実」,「新旧徹底比較⑦小学校学年別漢字配当表を改定都道府県名に用いる漢字20字を追加」,「新旧徹底比較⑧防災教育,海洋・国土教育の改善・充実社会で竹島・尖閣は日本の領土と明記」,「新旧徹底比較⑨聖徳太子?厩殿王?議論を呼んだ歴史用語の一部変更」,「新旧徹底比較⑩震災や土砂災害を受け,自然災害に関する内容を追加」,「新旧徹底比較⑪主権者教育,統計的内容の充実...各教科その他の改訂のポイント」と,知りたい事のほとんどを網羅している。これを予備知識として,新学習指導要領及び同解説を読み込むと効果的である。

なお,「小学校 学習指導要領 新旧比較対照表」「中学校 学習指導要領 新旧比較対照表」が発行されているので,参考のために紹介します(いずれも教育出版社,本体1200円)。