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書評:小島宏の気になる1冊その720

田中博之著「実践事例で分かる! アクティブ・ラーニングの学習評価」(学陽書房 本体:2000円)

 本書は,現在進行中の新学習指導要領に基づいた「主体的・対話的で深い学び」を実践する上で,多くの教師が悩んでいる,子どもの「自己評価」,「各教科の学習評価」,単元末・期末に実施する「評価テストの改善」に,具体的な方法を提案したものである。本書を熟読し,さらにクリティカル・リーディング及びクリティカル・シンキングをして,一層の充実・改善をし,それを発信していただきたい。そういう意味で本書を薦める次第である。

 第1章「アクティブ・ラーニングの学習の学習評価はどうすればいいの?」では,アクティブ・ラーニングの意味,主体的な学び方,対話的な学び方,深い学び方の意味と学習評価についての基本的理解ができる。第2章「すぐできて学習効果が高まる!アクティブ・ラーニングの自己評価」では,子どもの自己評価,課題づくりチェックカード,振り返りチェックカード,ウエビング法,タブレットの活用,アンケート法など自己評価の基本方法を学べる。第3章「学びがぐんと深まる! アクティブ・ラーニングの相互評価」では相互評価と協働的な学びについて,第4章「学びの基準が明確になる!ルーブリックによる評価」ではルーブリックを活用したアクティブ・ラーニングの学習評価,具体的にはレポート評価,パフォーマンス評価,プロジェクト評価,スキル評価について理解することができる。さらに,第5章「実践事例が満載!教科別ルーブリック評価」では小学校(国語,算数,理科,社会)と中学校(国語,数学,理科,社会,英語)の実践提案があり,第6章「単元テスト・定期考査の改善と学力調査の活用はどうする?」では今後どのように改善・工夫したらよいかを具体的に示している。

 なお,著者関連以外の参考文献として,「研究要第95号・小中学校に『おけるアクティブ・ラーニング』の現状と今後の課題」&「教育展望2015年9月号」一般財団法人 教育調査研究所,「中央教育審議会答申」(平成28年12月21日)などがある。