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書評:小島宏の気になる1冊その725

鈴木健二著「道徳授業をおもしろくする!―子どもの心に響く授業づくりの極意」 (教育出版 本体:1800円)

 新学習指導要領で,道徳の時間が「道徳科」になったが,実際の授業は何をどうすればよいのか? 私だけかもしれないが,具体的な道徳科の授業が見えてこない。

 そんな時に,既刊の「道徳授業づくり上達10の技法」「必ず成功する!新展開の道徳授業」を持つ著者により,教育出版の一押しで本書が出版された。

 道徳の時間の「授業はつまらない」という教師と子どもが多いそうである。道徳科になっても「授業はつまらない」という状況は変わらないと,著者は予測している。では,どうやったら「道徳科の授業は面白くなるだろうか?」知りたくなる。

 道徳科の授業を面白くするのに大切なことは,教師自身が「道徳科の授業は面白い」と感じるところから始まると,教員,教頭,指導主事,校長を経て,現在大学准教授の輝かしい経歴を持つ著者は主張する。そして,その土台となる「感性」を磨く必要があり,それには「本物」に触れることが大切だということです。教師自身の感動を子どもに伝えたい,という教師の熱い思いが,子どもの心にも響き,生き方に影響を与えることになるというのです。(まえがきの要約抜粋) 

Ⅰ:「これからの道徳~自分自身の道徳授業観をもつ~(道徳の時間は学級づくりの時間,考える道徳,議論する道徳とはなど3章)」,Ⅱ:「道徳授業づくりの基礎・基本~4つのステップを身につける~(教材開発力を高める4つのステップ,授業づくりアイデアシートを活用しようなど6章)」,Ⅲ:「小さな道徳授業をつくる~素材発見力を高める~(具体的な素材を発見し「小さな授業1~10」に具体的化して解説)」,Ⅳ:「一時間の道徳授業をつくる~教材開発力を高める~(身近な出来事や事象の中から素材を発見し,道徳的価値と関連付けて教材化し「道徳科の1時間の授業1~9」で具体化して解説)」,Ⅴ:「道徳科の教科書を活用する(教科書活用のポイントと具体例4章)」と,理論と実践によって具体的に示している。

 クリティカル・リーディングをして,自校流の,自分流の「道徳科の授業づくり」の手掛かりとされたい。