ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その729

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その729

田中博之編著『アクティブ・ラーニングが絶対成功する! 小・中学校の家庭学習アイディアブック』 (明治図書出版 本体:2100円)

 教育関係の今どきの出版物は,「アクティブ・ラーニング」または「主体的・対話的で深い学び」で溢れ返っている(あきれ返っているのではない)。ALがほんの少し話題になりかけた4年ほど前に,「アクティブ・ラーニング」関係の企画を,ある大手出版社に相談したことがあったが,歯牙にもかけられなかったことをほろ苦く思い出す。その後,AL関係の出版物は売れに売れ,そして,今やここまで来たかの感がする。家庭学習にまでALの発想を取り入れたというから驚きである。

 編著者は,教育工学&教育方法学の専門家で名高い早稲田大学教職大学院教授で,「アクティブ・ラーニングの成功は,家庭学習がカギを握っていると考え,新しい家庭学習の在り方を開発した」というのである。勉強させていただきたいという気持ちで読ませていただいた。

 「まえがき(アクティブ・ラーニング成功の鍵は,家庭学習にあり!)」,第1章「理論編:家庭学習から始めるアクティブ・ラーニング(子どもの学びの主体性は家庭学習が育てる,活用型宿題・資料活用型予習・自学ノート・平行読書で学力アップ!など5節)」,第2章「指導編:家庭学習力アップ大作戦(R-PDCAサイクルによる家庭学習力アップ大作戦,小中連携で進める家庭学習力アップ作戦など6節)」,第3章「実践編:家庭学習力を高める小学校のアクティブ・ラーニング(レーダーチャート,タイムマネジメント力,自学ノートとはがき新聞,道徳科とつなげてなど7小学校の実践例)」,第4章「実践編:家庭学習力を高める中学校のアクティブ・ラーニング(アンケートとレーダーチャート,テスト勉強,自学ノートとはがき新聞など9校の実践例)」,「あとがき(家庭学習が子どもの未来を拓く)」と,クリティカル・ラーニングをすると,家庭学習だけでなく,授業づくりのヒントが得られるように思う。