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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その731

「指導と評価2017年8月号」 (図書文化 本体:450円)

 夏季休業中に,1学期の問題行動について整理し,見直して,2学期の指導と対応策を再構成することを,多くの小・中・高校が生徒指導で知恵を絞っている。

 本誌今月号の特集はこれに呼応したもので,巻頭言「子供の問題行動―子供が問題なのか?学校が問題なのか?(問題行動の3つの見方など)」日本教育カウンセラー協会副会長新井邦二郎に続き,特集Ⅰは「問題行動の見方・考え方とカウンセリング」で考察対象者「きれるA」を下記の専門的な視点から考察し,支援・指導の手だてを具体的に示したものである。

 「問題行動の見方・考え方(問題行動の対応が生徒指導の原点,事例など)」文教大学教授金沢信彦,「認知行動カウンセリングによる問題行動の見方・考え方(CBTの特徴,事例の理解と支援・指導など)」群馬大学准教授岩瀧大樹,「応用行動分析の見方・考え方(機能的行動アセスメントと支援計画など)」立教大学教授大石幸二,「アドラー心理学による問題行動の見方・考え方(アドラー心理学の理念と支援など)」東洋学園大学教授鈴木義也,「ブリーフセラピーによる問題行動の見方・考え方(フリーセラピーから見るとどうなるかなど)」愛媛大学准教授相模健人,「学級経営心理学による問題行動の見方・考え方(児童生徒を理解する際の注意点など)」長崎外国語大学専任講師藤原和政と,問題行動の根幹を見抜き,科学的,心理的に対応する基礎が丁寧に語られていて参考になる。

 第2特集「新学習指導要領における指導と評価(2)」では,算数科(富山県福光東部小学校教諭中川慎一),数学科(東京学芸大学名誉教授藤井斉亮),小学校理科(埼玉県野寺小学校長塚田昭一),中学校理科(上越教育大学教授小林辰至),図画工作科(京都西京極西小学校長中下美華),美術科(TPU環太平洋大学副学長村上尚徳)と,新学習指導要領及び解説を基に著者の裁量でそれぞれの教科の「指導と評価」について諸論を展開している。クリティカル・リーディングをして,自分流のものに昇華されたい。