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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その733
「総合教育技術2017年8月号」 (小学館 本体:1000円)
平成27年3月の学習指導要領の一部改正によって,昭和33年(1958年)以来実施されてきた「道徳の時間」が,「特別の教科 道徳」(道徳科)になった。そして,検定教科書を使用して小学校は平成30年度から,中学校は平成31年度から「道徳科」を実施する。
「考え,議論する道徳」がポイントだと言われるが,実際のところ,どのような授業づくりをしたらよいものか,各学校・教師は考え込んでいる。文部科学省検定済「道徳科教科書」が発行されたが,それに関連させて特集が組まれている。
<総力大特集>見えてきた「特別の教科 道徳」の具体像 PART1:教科調査官&識者が提言「考え,議論する道徳の具体像と学校リーダーの役割」:文科省教科調査官浅見哲也「授業展開例について考える前に,目の前にいる児童生徒の実態把握を」&東京学芸大学教授永田繁雄「教科化は道徳授業を蘇らせるチャンス 心の活力を育てる能動的な授業づくりを」,PART2:初の教科書合同説明会開催!「教科書会社8社による道徳教科書のアピールを詳報」では,5月29日に文部省が求めた「公開の場での教科書説明会(教科書協会主催)」の模様を編集部がレポートし,各社の教科書の特色が紹介されている。PART3:先行実践レポート「特別の教科 道徳の趣旨を踏まえた授業づくり」では,提言インタビュー:筑波大付属小学校教諭加藤宣行「考えたいという欲求を刺激する発問で子供の価値観の再構築を促す」,先行実践レポート:①町田市立町田第一小学校長宮島徹「明確な指導観のもと,全教育活動を通じて考え,認め合う道徳教育の実践」&同②甲斐市立竜王北中学校長今村淳一・研究主任成嶋久代「5つの工夫をもとにした授業改善で全教科・活動を通して道徳性を育む」と,参考になる実践情報が満載である。
特集2は,ホームページを学校経営の切り札に「チーム学校を築く情報発信力!」である。「現状分析:9割の学校でホームページを開設しているが情報発信を戦略的に行う学校はまだ少ない(総務省調査などを本誌編集部が分析・考察)」,「提言:学校ホームページで校長が思いを伝えたまずは学校を知ってもらうことが大事(岐阜成徳学園大学教授玉置崇)」,「活用事例:教育目標をホームページのカテゴリーに設定し戦略的な活用によりベクトルをそろえていく(愛知県一宮市立浅井中学校)」,「行政のサポート例:学校ホームページを教育委員会も情報を発信,情報を集中させて保護者や地域とつながる(東京都八王子教育委員会)」&「活用事例:ホームページを学校化改革のツールとして活用し,保護者との信頼関係を回復へ(東京都八王子市立東浅川小学校)」と,学校の広報戦略の一つとしてホームページを有効に活用することが紹介されている。