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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その735
高田教育研究会「教育創造Vol.186」平成29年7月発行)
本書は,地味な教育雑誌である。読み込んでみると,じわじわと迫ってくるものがあり,毎号隅から隅まで読んでいる。
今月号の特集は,「子供の深い学び~問いをもつ~」で,田園調布学園大学教授佐伯胖「今,あらためて「学ぶ」ということの意味を問う」,鹿児島大学付属小学校教諭久保博之「各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせた深い学びの実現」,上越教育大学付属小学校教諭石田昇「上越教育大学付属小学校10期教育課程開発研究の取組から考える」は,実に多くのことが学べる。
特に,佐伯胖先生の地道な研究と学校の授業・実践の観察から導き出した主張は,「そうなのか!」「これでいいのだ!」と,多くの知見と前向きの勇気を与えてくれる。20年ほど前,N小学校で同僚だった太田多一さんから佐伯先生の著書を勧められて以来,多くのことを学び,授業観が大きく変わったと自覚している。子供ははじめは何も知らないのだから「教えて考えさせる」と主張し,それを信じ込み,まず教え込んでいる授業を実行している先生方には,目の前の「子供たちのため」に,ぜひ読んでいただきたい。きっと,授業が変わるに違いない。
さらに,「授業をつくる」では,小学校「5学年実践外国語科」,小学校「3学年総合的な学習の時間」,小学校「1学年国語科」,中学校「2学年理科」と,様々に工夫した授業が提案されている。