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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その754

石戸奈々子監修「図解プログラミング教育がよくわかる」  (講談社 本体:1300円)

 中教審答申(平成28年12月)では,「身近なものにコンピュータが内蔵され,プログラミングの働きにより生活の便利さや豊かさがもたらされていることについて理解し,そうしたプログラミングを,自分の意図した活動に活用していけるようにすることもますます重要になっている。将来どのような職業に就くとしても,次代を超えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」などを育むプログラミング教育の実施を,子供たちの生活や教科等の学習に関連付けつつ,発達の段階に応じて位置付けていくことが求められる」と提言された。これを受け,新小学校学習指導要領(平成29年3月告示)で,小学校プログラミング教育(教科等における学習上の必要性や学習内容と関連付けながらプログラミング教育を行う単元を位置付ける)が必修になった。

 しかし,具体的にどのように取り扱ったらよいか学校現場は戸惑っている。何か手掛かりが欲しいと思っていたら書店で本書を見つけ,「親や先生がいますぐできることって? 何歳からはじめればいい! そもそもプログラミングとは! はじめよう!家庭で学校で子どもと一緒に体験しよう!」に惹かれて,読んでみた。

 これを,授業ですぐに実践しようとすることには慎重でありたいが,クリティカル・リーディングをし,クリティカル・シンキングをして,十分研究し,計画して,実際に小学校で2020年(平成32年度)から始まる「プログラミング教育」に備えたい。

 小学校教師が「プログラミング教育」の一般的な知識を得るためには役立つが,小学校学習指導要領解説算数編,同理科編,同総合的な学習編と併せ読むことを勧めしたい。

 第1章「プログラミング教育とはなにか(体験を通じて自分で考える力が伸びていくなど8節)」,第2章「家庭で遊びながら学べるもの(実例紹介3例など12節)」,第3章「小学校での実践がはじまっている(実例紹介2校,先生向けアドバイスなど10節)」,第4章「なぜ今子供たちに必要なのか(暮らしの中でプログラミングが増えていく,親や先生向けアドバイスなど6節)」,第5章「プログラミング教育の効果とは(プログラミングは論理的な思考につながりやすいなど6節)」と,図解と簡潔な文章で分かりやすい。