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書評:小島宏の気になる1冊その755

文科省教育課程課・幼児教育課編集「初等教育資料2017年8月号」(東洋館出版社 本体:500円)

 教師なら誰でも,学習活動(課題解決)の過程で,つまずいている子どもや戸惑っている子どものことが気になるものである。そして,何とか有効な手立てを講じて,学習活動を軌道に乗せ,目標を実現させてあげたいと思っている。

 本誌の今月号の特集「学びの過程における困難さに対する指導の工夫―小学校における特別支援教育の推進―」に惹かれ,手に取った。

 特別支援教育課「障害のある児童等の教育課程の編成・実施の工夫」をはじめ,「国語科の学びの過程における困難さに対する指導の工夫(教科調査官菊池英慈)」,「算数科同(同笠井健一)」,「生活科同(同渋谷一典)」,「音楽科同(同津田正之)」「図画工作科同(同岡田京子」,「家庭科同(同筒井恭子)」,「体育科同(同高田彬成・森良一)」,「道徳科同(同浅見哲也)」「外国語活動・外国語科同(同直山木綿子)」,「総合的な学習の時間同(同渋谷一典)」,「特別活動科同(同安部恭子)」と,各教科調査官が専門的見地から「どのように指導の工夫をしたらよいか」を解説していて大変役立った。

 ややもすると「特別支援を要する児童等に関することだ!」と捉えがちであるが,これら「指導の工夫」と「その発想」はどの学級,どの子供たちにとっても,必要かつ有効なものばかりである。学習課題(学習問題)に児童等が取り組んでいる際の「すぐできてしまった」,「どうにかできた」,「つまずいている」,「混乱している(戸惑っている)」,「どうしたらよいか全くわからない」等々に応じて,指導・支援の手立てを講ずるヒントを探る手掛かりになるからである。