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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その757
田宮寛之著「業界地図の見方が変わる!無名でもすごい超優良企業」 (講談社+α新書 本体:840円)
政治家はいろいろ言うが(実際にやってはいると思うが),庶民の生活状態で判断するに,景気がよくなったとはとても実感できない。特定の業種・企業が中小企業を押しのけ,大型店が昔ながらの商店街のシャッターをおろさせ,一流のホテルやレストランで舌鼓を打つ人たちがいる一方で,庶民の食卓を特売品で凌がせているからである。
でも,「景気が良くて面白い会社がこんなにもある!」というキャッチコピーに,「ほんとう?」と疑いながら購入してしまった。これが本当なら,本書からヒントを得て「景気の良い会社」をつくり,「景気の良い会社」に立て成して,従業員の懐を温かくし,それを地域社会に還元してほしいと思う次第である。
本当に「景気が良くて面白い会社がこんなにもある!」のなら,もっと日本の経済状態は良いはずである。多分,そのような会社は多いと言いながらまだ珍しい存在なのだと思う。だから,本書をヒントに「良い会社」がどんどん増えてほしいと願うものである。そして,「良い会社」を作れるような,経営できるような人材を育成するために,学校教育に何ができるか考え実行してほしいと願うものである。
内容は,第1章「日本発,夢の新素材を生み出す企業(2つの視点からの企業紹介)」,第2章「天変地異と闘う防災企業(3つの視点からの企業紹介)」,第3章「最後のフロンティアで活躍する企業(3つの視点からの企業紹介)」,第4章「世界を食糧危機から救う企業(3つ視点からの企業紹介)」,第5章「『日本』を輸出する企業(3つの視点からの企業紹介)」,第6章「QOL向上に貢献する企業(4つ視点からの企業紹介)」と,なるほどと思わず唸るような新しいタイプや隙間に着目した企業が紹介されている。当たり前のことをする企業と,発想豊かなこのような企業が併存することが必要だと思って読み終えた。