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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その758
集英社文庫編集部編「短編少年」 (集英社 本体:620円)
本書は,集英社文庫・短編アンソロジーの1冊である(アンソロジーの語源はギリシャ語anthologia花を集めたものの意で,英語のanthology異なる作者の作品を集めたもの意)。
ということで,流行(ファンの多い)作家の「少年」を描いた短編小説を収録した文字通り「アンソロジー」である。
少年(と言っても,少女目線の作品もある)を主人公にしただけあって,初恋,片思い,性への関心と悩み,人生への悩み,人間関係・模様のあれこれ,生きることへの懐疑など,青少年期の息遣いが伝わってくる。
高校生(ませた小中学生)が,本書を読むことによって,様々な人間模様,心のありようなどを学ぶことができよう。また,大人も読めばそれなりに楽しめる。小学校高学年の頃の・・・,中学校時代の・・・,高校時代の・・・,大学時代の・・・,淡い思いを反芻すると胸がドキドキしてくるに違いない。次の珠玉の短編が収録されている。
伊坂幸太郎「逆ソクラテス」,あさのあつこ「下野原光一くんについて」,佐川光晴「四本のラケット」,浅井リョウ「ひからない蛍」,柳光司「すーぱー・すたじあむ」,奥田英朗「夏のアルバム」,山崎ナオコーラ「正直な子どもたち」,小川糸「僕の太陽」,石田衣良「跳ぶ少年」。ただし,解説が作品を俗っぽくしてしまっていると感じるのは私だけだろうか。