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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その762

「指導と評価2017年9月号」 (図書文化 定価:450円)

 新学習指導要領が告示され,本年度は趣旨徹底期間,次年度から完全実施に向けて移行措置が始まる。それに伴って,「評価はどのようになるのだろうか?」と心配になってくる。その様な教師,特に若手教師の心配事に応えているのが,本誌である。

 特集「新学習指導要領における指導と評価(1)」7月号,「同(2)」8月号に続く「同(3)」9月号である。その内容は以下のような構成になっている。

 文科省教科調査官直山木綿子「小学校英語」,千代田区立九段中等教育学校指導教諭本田敏幸「中学校外国語」,文科省教科調査官高田彬成「小学校体育」,豊橋市立角田中学校長藤田弘美「中学校保健体育」,広島大学教授鈴木明子「小・中学校家庭科」,長崎大学教授藤木卓「中学校技術」,江南女子大学教授村川雅弘「小・中学校総合的な学習の時間」。

 なお,石田恒好応用教育研究所長の巻頭言「世間語の「評価」の追放を」は,とても考えさせられる内容で,一読に値する。特に,学力の評価と道徳性の評価は...というくだりは衝撃的である。なお,この内容は,著書「評価を上手に生かす先生」図書文化刊,「教育展望1986年5月号(人間形成と教育評価―指導と評価の一体化に,さらに磨きを―)」「同1987年7・8月合併号(個を生かす指導と評価―上位的学力に視点を据えて―)」いずれも一般財団法人教育調査研究所刊などで既に主張されている。

 若い頃,算数教育に関わって,大先輩の小林森先生から「評価と評定の違いと働き」について同趣旨のご指導いただいたことをなつかしく思い出した。