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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その764

池谷浩司著「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪はくりかえされるのか」(幻冬舎文庫 本体:600円)

 表紙裏に,著者は「相手が先生だから抵抗できなかった――教師が絶対的な権力を持つ教室や部活動の現場で,被害者は「隙があったのではないか」と責められ,教育委員会は事なかれ主義を貫き,隠ぺい体質がはびこる。わいせつ行為で処分を受けるのはごく一部で,泣き寝入りが大半だ。他人事(ひとごと)ではない学校だから起きる性犯罪の実態を浮き彫りにする執念のドキュメント」と言い,解説した小島慶子氏は「あなたは,ノーと言っていい。」と,進めている。

 これが本当ならば,誠に恥ずかしい不甲斐ない話である。学校・教師,教育委員会は,もっと「子供を守らなければならない」と,心の奥底から思う。心ある人は,本書を読んで,ことの重大さを再確認していただき,「スクールセクハラの根絶」の実現のためにご尽力を,切にお願いしたい。

 内容は,ノンフィクションで,第1章「M教師」,第2章「特別権力関係」,第3章「部活動」,第4章「二次被害」,第5章「届かない悲鳴」である。心が息苦しくなって,読み進めるのは難儀であるが,ことの重大さを確認するために,ご一読をお勧めしたい。