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書評:小島宏の気になる1冊その778

新渡戸稲造著・山本史郎解釈「武士道的一日一言」 (朝日新聞出版 本体:780円)

 本書の序では,「この本の長所は文章が易しく短いということである。...,おそらく義務教育の課程を終えた人なら楽に読んでいただけるだろう」「これは長所だろうか?むしろ短所とでもいうべきか。もし皆さんがこれ以上長文のもの,あるいは高尚なものを常時読むことができるなら,この本を捨て去って,そちらから日々の糧を得てくださることを願っている」とあり,著者新渡戸稲造の思いが伝わってくるようだ。

 本書の構成は,1月から12月まで毎日365日に,1日1つの教訓になる格言を取り上げ,10行内外で「格言」と解説,関連する「短歌」と作者と最小限の解説あるいは出典が,短文かつ簡潔に示されている。

 人生の糧になることは勿論,どこかの席に挨拶で引用するのにも活用できるすぐれものである。その時々に応じて,部分的に読むことが実際的である。ちなみに,いくつか紹介しよう。

 1月1日「はじめの一歩」,2月6日「ほんとうの優しさ」,3月9日「理想に近きにあり」,4月4日「平凡」,5月18日「平和」,6月20日「言葉をつつしむ」,7月11日「高く,低く」,8月16日「貧富平等」,9月11日「人たる道」,10月9日「心の修養」,11月2日「教えるときは学ぶとき」,12月31日「旧を捨て新に就かん」と,365の格言&人物に会える。