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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その792

文部科学省「平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(速報値)について」平成29年10月26日発表

 平成28年度のいじめの認知件数は,前年度の約1.4倍に当たる32万3808件(前年度22万5132件)で急増している。その中で「解消している」件数の割合は90.6%(前年度88.7%)である。

いじめ発見のきっかけは,「アンケート調査など学校の取組により発見」は51.6%(前年度51.5%)で,「本人からの訴え」が18.1%(前年度17.2%)で,「学級担任が発見」は11.6%(前年度11.8%)であった。
 
 ところが,いじめを原因とする自殺者が依然としてなくならない(多くいる)こと,いじめの認知件数が1件もないという学校が全体の31.7%もあったことについて,文部科学省は「これだけ多くの学校でいじめが全くないという認識は持てない」と厳しくコメントしている。

 いじめられた児童生徒の相談状況は「学級担任に相談」が77.7%(前年度74.7%)と好ましい状況にあるが,子どもたちの日常生活を丁寧に見て,早期発見・早期対応に一層努め,いじめられる子供を出さない,いじめられている子供を守り抜くことを基本に,子供の「安心」「安全」「安定」を実現したいものである。

 また,教員が原因の不登校が3653人もいるという厳しい実態も報告されている。教員の誤った指導や不信感が大きいという指摘を真摯に受け止めたい。

 本報告を熟読し,教職員で共通理解し,いじめや不登校についての指導・対応・配慮に,学校と保護者,地域,関係諸機関と協力・連携して当たりたい。