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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その796
「教育研究2017年11月号」(不昧堂出版 定価:850円)
若い頃,授業中に,子供たちの顔を見ていて,「この子供たちは,本当に納得しているのだろうか?」と,不安になり,いけないこととは承知の上で「分かりましたか!」と念押しをして「ハイ,分かりました」を強要し,誤魔化してしまうことがあった。
今月号の特集は,まさにこのことに対応したもので,「納得解」である。内容は,中教審委員無藤隆「納得解とは何か」,筑波大学附属小学校教諭由井薗健「ともに問題解決し続けていく社会科授業の創造」,同白岩等「理科の授業と納得解」,同加藤宣行「道徳教育における納得解―価値観の再構築という発想―」である。ぜひ,参考にされたい。
恒例のインタビュー「今,この人に聞く」は,元陸上競技選手(世界大会日本人初のメダル獲得,3度オリンピック出場,男子400メートルハードル日本記録保持者)為末大「自分のことは自分で決める」で,「自分の生き方」「人生の歩み方」,特に「限界を感じたよき,どうすればよいか」など,たくさんのヒントが得られ,子供たちの指導に役立つ内容である。
また連載の「全国授業とれたて便:図形と知識理解をつなげる指導の工夫―3年図形領域の実践から―」別府市立南小学校教諭重松優子,筑波大学附属小学校教諭による「研究発表」,道徳科「問題解決的な道徳授業の実践―対立する2つの道徳的価値―」山田誠,算数科「統合的な考え方を育てる算数授業―子どもの発想を生かして既習と未習を関連づける―」盛山隆雄,国語科「マイナス・プラスの読みで物語を読む(1)―「ちいちゃんのかげおくり」の授業の場合―」なども大変参考になる。