ホーム > 教育研究所 > 気になる1冊 > 書評:小島宏の気になる1冊その797

教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その797

「総合教育技術2017年11月号増刊」堀田龍也編著「新学習指導要領時代の間違えないICT」 (小学館 定価:1550円)

 新学習指導要領の完全実施を控えて,小学校の教師を不安にさせているものが2つある。1つは,英語教育(3・4年生の外国語活動の新設,5・6年生の外国語科の新設)で,もう1つはプログラミング教育の必修である。時数確保も指導内容も曖昧なままで...。

 本書は,その後者に対応したもので,次のような内容構成になっている。

『間違えないICT導入』:なぜICTなのか,授業を中心に据えたICT環境整備の方針について,福分堂代表取締役村岡明・ICT業界の情報の集め方など6節。
『間違えない授業ICT』:ICT活用を学力向上につなげる,新学習指導要領「各教科」とICT活用,デジタル教科書が促すもの,杉並区立天沼小学校長福田晴一・学習者用デジタル教科書の可能性,ウチダ人材開発センターICT支援員五十嵐晶子・教室へのタブレット導入で考えたいことなど12節。
『間違えないプログラミング教育』:プログラミング教育が目指すもの,柏市教育委員会副参事・柏市プログラミング教育が目指すもの,相模女子大学小学部副校長川原田康文・体験しながら考えるプログラミング,有意義なプログラミング体験のためになど9節。
『間違えない情報モラル教育』:LINE公共政策室浅子秀樹・体験型教材で情報モラル教育を支援など4節。
『間違えない校務ICT』:現実に沿った校内研修のために,新学習指導要領時代の管理職研修,学校の良さを生かす校務の情報化を,校務支援システムは教師の勘の可視化であるなど8節。

 これから,移行措置期間を経て全面実施を迎えるまでに2年余ある。本書を読み込んでかつクリティカル・シンキングをして,新学習指導要領の趣旨を十分に踏まかつ工夫を凝らして自校流の「ICT」の活用を開発・実践して「質の高い教育の実現」につなげてほしい。