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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その798

東京都教育委員会「東京と教職課程カリキュラム」平成29年10月28日

 本策定は,教員の「養成」段階から身に付ける言葉,望ましい教育公務員としての必要最小限の「知識」や,チーム学校の組織の一員としての喫緊の「教育課題」に対応でき,適切に「問題解決」できる資質・能力をまとめたもので,各大学へ提示された。

 その内容は,若手教員の当面の研修課題であり,中堅教員が一層磨く必要のある視点であり,ベテラン教員の経験を振り返りリニューアルする観点であり,管理職が人材育成する際に考慮すべき事柄でもある。

 詳細は省略するが,下記の領域について「痒い所に手の届く」丁寧かつわかりやすい内容となっている。

Ⅰ:東京都教職課程カリキュラム「領域1 教員の在り方に関する領域(教員として必要な教養,コミュニケーション能力と対人関係,体罰の根絶など6節)」,「領域2 各教科等における実践的な指導力に関する領域(教材研究・教材解釈と授業づくり,児童生徒の学習状況の把握と評価など9節)」,「領域3 教育課題への対応に関する領域(全ての児童生徒が学び成長し続けられる教育の実現,悩みや課題を抱える児童生徒に対するサポートの充実など8節16項目)」,「領域4 学級経営に関する領域(集団の把握と個に応じた生活指導,児童生徒理解と教育相談など4節5項目)」,Ⅱ:東京都教育委員会における教育課題への対応方針と主な取組(不登校に関する事項,障害のある子供たちへの多様なニーズへの対応,いじめに関する事項など9つの教育課題),Ⅲ:教育実習(2つの内容と2つの例),Ⅳ:教育実践演習チェックシート,Ⅴ:カリキュラム構成モデルの例示,Ⅵ:資料
と,充実している。

 特に,現職の教員や管理職にとっては,Ⅵ:資料の「東京都公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」は,管理職として及び教員としての自己評価に使える優れものである。

 なお,教員としての実践的指導力を高め続けるために,管理職としての力量を一層高めるための基本的な拠り所として,また,区市町村教育委員会の教員研修の企画・運営の手掛かりとして,「学び続けよう,次代を担う子供のために―平成30年度東京都教育委員会研修計画―」(平成29年10月東京都教育委員会)が大変参考になるので併せて紹介する。