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書評:小島宏の気になる1冊その801

日本教育新聞教育研究室編「日常の授業で取り組む学力向上―国語・算数・理科・社会の20のポイント~ベテラン教師の指導事例・ヒント集~小学校編」(日本教育新聞 本体:1500円)

 学力向上を願わない学校はない(教師はいない)。それなのに,学力の低迷している学校・学級は少なくない。なぜだろうか? それは,一生懸命取り組んではいるが,授業(指導)のポイントが分からず,空回りしていて一向に成果が上がらないためである。

 本書は担任の時に授業づくりの実践があり,かつ人材育成で実績のある校長,授業づくりに取り組み指導力に定評のあるベテラン教師に,そのポイントを語ってもらった珠玉の一冊である。経験の浅い先生,周りに先輩の少ない小さな学校の先生,自分の指導の仕方に自信の持てない先生,もっと指導力を高めたい先生の参考になる。新学習指導要領の完全実施(平成32年度)を控えて,各教科等の内容が高度化し,教科横断的な始動計画や展開が求められる中で,実にタイムリーな内容である。

 紙面の構成は,「指導事例のポイントのキーワード」→「子供のつまずきへの支援のヒント(実際の授業での具体的な教材や展開例)」→「コーヒーブレイク<息抜き・でもヒントになる一言が参考になる>」→「さらに詳しい授業事例の紹介(特に,子供の学習状況や反応に応じ,学年で実践するヒントが,図やイラストで見やすく平易に解説してある)」などなど。

このまま実践してもいいし,目の前の子供の実態に応じてアレンジしてもいいし,我こそはと思う人はこれらを参考にして,自分流を目指してもいいと思う。