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書評:小島宏の気になる1冊その804
NATIONAL GEOGRAPHIC協会 幾島幸子訳「ナショナルジオグラフィックが見た地球の絶景 Wonders of the World」(日経ナショナルジオグラフィック社 本体:1400円)
本書は書名の如く,見て(眺めて,じっと見つめて,思い出と重ねて,新しいことを見つけようとして,鑑賞して)楽しむ写真集である。そして,次のように大きく3部から構成されている。
<sky編>アルティプラノ(ボビリア,ペルー,アルゼンチン)。レッドウッド(カリフォルニア)。自然の手に委ねられた遺跡―マチュピチュ(ペルー)。北極光・オーロラ(北極圏)。エベレスト山(ネパール)。
<land編>イエローストーン(ワイオミング,アイダホ,モンタナ)。サハラ砂漠(北アフリカ)。ハワイの火山(ハワイ)。巨大結晶の洞窟(メキシコ)。グランド・キャニオン(アリゾナ)。自然の手に委ねられた遺跡―アンコールワット(カンボジア)。グレート・リフト・バレー(東アフリカ)。パタゴニア(アルゼンチン,チリ)。クルーベラ洞窟(グルジア)。トンガリロ(ニュージーランド)。
<water>ブルーホール(バハマ諸島)。フィヨルド(ノルウェー)。ケル王の森(カリフォルニア)。ノースショア(ハワイ)。自然の手に委ねられた彫像―海底の庭園(グレナダ)。ビクトリアの滝(ザンビア,ジンバウエ)。バイカル湖(ロシア)。グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)。熱帯雨林(ボルネオ)。ブルーラグーン(アイスランド)。
ペルーのインカの古代都市マチュピチュの写真は控えめである。でも,2007年に老妻とパックツアーで訪れた印象からは,実際はもっと素晴らしいものである。そんなことよりも,1911年にアメリカの探検家ハイラム・ビンガムが発見した当時の写真と対比されていて古代に触れたように感じた。
老妻は,高校の仲良し仲間とグランドキャニオンへ行き,小型機で空から眺めたことを思い出し,本書の写真を見ながら恍惚の世界に入っていた。
一度も訪れたことのない場所や現象の写真を見ても,まるでそこにいるような錯覚に陥るような見開きA3の写真が60余枚も溢れている。また,ただの写真集ではなく,写真の横に簡潔な解説が添えられている。写真の中に,人あり,動物・植物あり,魚あり,水が流れ,風が吹き,波が寄せ,臨場感と生命感が溢れている。さらに,「オーロラはこうして発生する」「地中洞窟はこんな構造」など科学的な解説も充実している。