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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その805
妹尾昌俊著「思いのない学校,思いだけの学校,思いを実現する学校―ビジョンとコミュニケーションの深化(小・中・高管理職)」 (学事出版 本体:1800円)
本書は,学校マネジメントを実現するには,コミュニケーション能力の向上が必須であるとの著者の持論を展開したもので,この能力が教育改革を目指した「学校改革の方略」を可能にすると提言したものである。
自分の過去(新米の頃)のことを言われているようで辛い「思いのない学校」,それならばと一念発起した頃(校長経験数年目)のことを見透かされているかのような「思いだけの学校」,やっと教職員と一丸となって小さなことではあったが成し遂げた退職間際の「思いを実現する学校」(第三者から見たら実に些細なものであるが)と,自分の管理職経験を絵に描いたような1冊である。
この本にもう少し早く出会っていたら「質の高い教育の保障できる学校づくり」ができ,子どもたちの「知・徳・体」を調和的に充実できたと少々後悔している。(当時は,拙著「学校経営こんなことが役立った」教育出版2010年が限界だった)
次のように4章で構成されていて,内容がとても充実している。自校の状況や自身の思いを基に,クリティカルリーディング&クリティカル・シンキングをして,「思いを実現する学校」につなげていただきたい。
第1章「分かっていても実行できないを越える」,第2章「あなたの学校にビジョンと戦略はあるか」,第3章「あなたはなにをもとにマネジメントしているか―経験と勘?数字と分析?それとも熱いハート?―」,第4章「ビジョン・目標を立てきりにしていないか?―カリキュラムマネジメントと戦略実行―」,
以前,小欄で紹介した,同著「変わる学校,変わらない学校~学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道~(小・中・高管理職)」(学事出版本体1944円)の<実践編Ⅰ>に当たる。