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書評:寺崎千秋の気になる1冊808

加藤幸次著 「カリキュラム・マネジメントの考え方・進め方―キー・コンピテンシーを育てる学校の教育課程の編成と改善」 (黎明書房 2017.4.10 本体:2400円)

 書名のとおり「カリキュラム・マネジメント」に関する本であるが,単なる解説本ではない。著者のこれまでの研究成果をもとに,これからの学校の在り方について「カリキュラム・マネジメント」を視点にして幅広く,そして深く掘り下げて論じた書である。

 冒頭「はじめに」に著者の本書に対する考え,思いが述べられている。いわば総論といってもよいであろう。「本書の目指すところは,「カリキュラム・マネジメント(教育課程経営)」というカタカナ語を慎重に,かつ,沈着に捉えつつも,カリキュラム・マネジメント」の導入が学校改革にもたらす一大機会になるものと期待する。グローバル時代にふさわしい学校の「自律化・地域化」への道を探ることにあるとし,さらに,これを契機にして,未来の学校を地域社会における文化創造の拠点にできないものかしている。各章をこの視点から読むことが必要である。

 各学校にはそれぞれに学校文化がありこれは地域とともにある。今,それを新たな時代を指向して見直し,創造するときである。著者は「挑戦」という。そのとおりであろう。