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書評:小島宏の気になる1冊その811

「第3版 詳説日本史図録」 (山川出版社 本体:848円)

 本書は,高校生用に,日本史図録編集委員会が編集したものである。海外に旅行した時に,あるいは日本で外国人旅行者から日本の歴史について「......?」と質問されたときに,日本人なのに「???」と,何も答えられなくて失望される(恥をかく)ことが,自分も含めて少なくないようだ。

 日本の歴史・伝統・文化という割には,日本人自身が「疎い(うとい)」のである。中学生などに負けていられるかと,時々,興味・関心や新聞・TVなどの話題に関連した項目を,じっくり読む(眺める)ようにしている。お蔭で,小・中・高・大の日本史で習ったはずの事柄がおぼろげながら思い出せるようになった気がする。

 これで,中学生の孫の話について行けるようになったし,浅草仲見世や上野アメ横商店街,上野公園で外国人観光客から日本のことについて質問されても答えられる自信がついた,と思っている(「こういう場所では大した質問が出るわけがない!」,ごもっともなことです)。

 本書は360頁の大作で,内容は,歴史のスポット(三内丸山遺跡,纒向石塚古墳,曾我氏,石見銀山,日本の世界遺産),原始・古墳(旧石器~源氏の進出など71項目),中世(荘園整理令~戦国大名,都市の発展と町衆など50項目),近世(南蛮貿易,織田信長,江戸幕府の成立,化政文化など58項目),近代・現代(開国~敗戦など90項目),戦後(戦後世界秩序の形成~経済大国への成長,ノーベル賞と国民栄誉賞など33項目),巻末付録(国県対照地図,干支・暦・時,天皇系図,歴代内閣,年表,索引200項目,度量衡)で,歴史情報が満載である。

 1項目1ページの簡潔型で,3~6の小項目に分けて,解説,地図,年表,図表,カラー写真,歴史的資料,古文書などをふんだんに使って,見て分かり,読んで納得の構成になっていて大変分かりやすい。