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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その815
「総合教育技術2017年12月号」 (小学館 本体:1000円)
今月号は,新学習指導要領の実現に向けた「総力大特集」と,全国学力調査結果を分析した「特集2」が圧巻である。開かれた教育課程の実施が,質の高い学力の定着・維持,向上につながってほしいからである。
「総力大特集」では,3つの視点「カリキュラム・マネジメント」「地域社会との連携・協力」「主体的・対話的で深い学び」から提言と実践事例を示している。PART1:横浜国立大学教授石塚等「3つに視点から考える社会に開かれた教育課程~2030年の社会に生きる子供たちに必要な資質・能力を育む」,PART2:「社会とつながり,社会と共有する教育課程はこう作る!」千葉大学特任教授天笠茂「識者のアドバイス:学校や問題意識を喚起することで理想のカリキュラム・マネジメントは実現する」,香川県高松市立十河小学校「実践事例:地域で学ぶ5領域カリキュラムで社会で必要な6つの資質・能力を育む」,日本大学教授佐藤晴雄「識者のアドバイス:正す・埋める・つくるの3つのキーワードで,学校が地域とともにできることを考える」,福井市教育委員会「実践事例:幼保小中が一体となった中学校区教育で一貫性のある地域に根ざした学びを実現」,早稲田大学教授田中博之「識者のアドバイス:地域のゲストティチャーや事例に学び実感を伴った深い学びを実現する」,横浜市立北綱島小学校「実践事例:安全防災教育を通して自主性を育み地域に開かれた学校づくりを実現する」。
「特集2」では,今年度4月の「全国学力調査結果の徹底分析」で,「結果分析:県別では学力格差の縮小傾向が続く 今年度より政令指定都市の結果も公表」,お茶の水女子大学教授耳塚寛明「分析&提言:平均値だけに着目するのではなく分布にも注目してより多面的に分析を」,秋田県教育委員会「秋田の探究型授業をベースに教員の指導力を高め,少人数学習で学力向上へ」,横手市立雄物川小学校「小学校レポート:独自のカラフル・パワーズの取り組みと言葉の力の育成が学力向上の柱」,新潟市教育委員会「学力向上に効果的なのは学習課題のまとめ・振り返りのある授業の徹底」,新潟市立関谷小学校「小学校レポート:学習過程に見通し,考えるを加え友達と主体的にかかわる授業を実践」,仙台市教育委員会「学力向上の鍵は市独自の学力検査の活用 教員一人一人が丁寧に分析し指導改善へ」。特に耳塚教授の「平均値」以外の視点からの分析の提言には耳を傾けたい。