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書評:小島宏の気になる1冊その822

シャーリー・クラーク著・安藤輝次訳「アクティブラーニングのための学習評価法―形成的アセスメントの実践的方法―」 (関西大学出版部 本体:4000円)


 授業で重要なのは,「形成的評価」で,特に自力解決段階の「評価(学習状況や反応の看取り)」とそれに対する支援が重要であり「指導と評価の一体化」または「指導と評価と支援の一体化」として,多くの学校で実施している。(参考:橋本重治著「教育評価法が移設2003年改訂版」図書文化社,教育情報シリーズ180号「道徳科における評価のポイント」教育出版教育研究所)

 原題は「Outstanding Formative Assessment:Culture and Practice(形成的評価:考え方と実際)」で,むしろ本書の副題が中心であろう。著者の日本語版へのメッセージの中で「形成的アセスメントとは,教師の教えと子供たちの学び方をあわせた方法論です」と述べていることからもわかる。

 第1部「形成的アセスメントの背景(形成的アセスメントの定義とその必要性)」,第2部「授業の文化と構造(学習文化における形成的アセスメントの精神,計画段階で子供を巻き込む,話し合いのパートナー)」第3部「授業展開の方法(発問と活動,学習目標と成功規準,優秀性の開発:書き方の成功規準を越えて,授業中の問いかけ,フィードバック,学習のまとめ方)」から構成されている。

 極めて個人的な感想であるが,私は,特に第2部の「メタ認知を統合する」の中の「首尾よい学習とは...集中する6ポイント,諦めない7ポイント,協力する5ポイント,好奇心を持つ6ポイント,何かを試みる4ポイント,想像力を使う3ポイント,改善し続ける6ポイント,学習を楽しむ6ポイント」及び第3部「学習のまとめ方」の「授業の結末...何を学んだか? 話したり・尋ねること,付箋紙,出口カード,電話のテンプレート,学習後の子供の自己省察」&「現在の理解の状態を明らかにし,フォローアップする...表10.1誤概念のフォローアップ」が大変学習になった。