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書評:小島宏の気になる1冊その829

萩谷麻衣子著「知らぬは恥だが役に立つ法律知識」(小学館新書 本体:780円)


 著者は,「はじめに」で,「何かトラブルに遭遇したら一刻も早く弁護士に相談することが大切ですが,転ばぬ先の杖として本書を活用していただきたい」と述べ,「法律」についての知識を持つよう勧めている。

 学校についていえば,公教育は関連法規など(日本国憲法,教育基本法,学校教育法,学習指導要領,文部科学省の通知,教育委員会の規定や基本方針など)に基づいて行われるのであるが,世間では管理職や教職員の法律知らずは甚だしいと言われているという。当然,保護者等からの訴え,近隣住民とのトラブル,個人情報の保護,教材等著作権の侵害など,学校もトラブルに巻き込まれる可能性は少なくない。この意味で,本書をきっかけとして,関連法規について学び,「円滑な学校運営と充実した教育活動の展開」に「法律」を適切に活用できるようになりたい。

 第1章「知っておきたい旬の法律―痴漢,強姦,飲み屋のツケ(一生を狂わせる自転車事故,LINEでストーカー,未払残業代堂々と請求など10節)」,第2章「知らなかったじゃ済まされない法律の基礎知識(記憶力より論理力,日本国憲法は矛盾を孕んでいる,困った時の法テラス(弁護士に相談したいが経済的に余裕のない人を支援すること,大手弁護士事務所の落とし穴など14節)」,第3章「人には言えないお金のトラブル(おまとめローンはこんなにも損!,給食費払えないなら就学援助制度など10節)」,第4章「男と女と家族のトラブル(あとくされなく離婚する方法,わが子がいじめを受けたらまずやるべきこと,教員の責任はどこまで追求できる?など15節)」,第5章「毎日の暮らしを守る住まいの法律(騒音や悪臭が耐えられない!,隣家の火事はやられ損など10節)」,第6章「働く人が知っておくべき法律(障害者だから低賃金は×,長時間労働は拒否できる,マタハラ(注:被害者は女性)・パタハラ(注:被害者は男性)・ケアハラ(注:介護する人へのハラスメント)って何?など10節)」と,今どきの民法・刑法の新常識が,具体的に平易に分かるように解説してある。