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教育研究所
書評:小島宏の気になる1冊その831
河合薫著「他人をバカにしたがる男」(日経プレミアシリーズ 本体:850円)
プロローグで,「本書は,他人をバカにして会社にしがみつく「ジジイ」にならないための指南書です」と,執筆の目的を述べている。
「前例がないから,この企画はダメ!」と言いながら「これだという案」も「指導の言葉」もない上司,「もし,上手くいかなかったら君は責任が取れるんだね!」と言い,「よし!全責任は私がとるから存分にやってくれ!」と言えない上司にも読んでもらい,前向きで創造的な会社にしてほしいという希望を密かに持っているとも受け止められる。
「ああなりたくない」と言いつつ,「そうなってしまう」人が少なくないそうだから,本書を指南書として活用して「ジジイ」にならないように・・・。
本書の内容は次のように構成されており,自分流の生き方や仕事の仕方のヒント,ものの見方・考え方を広げるために役立ちそうだ。
プロローグ「ジジイ化する男女(不安がジジイ化を加速させる,ジジイ化を防ぐために何が必要かなど6節)」,第1章「老害はどこから発生するか―他人をバカにするジジイと粘土層(40代から始まる老害,君のためだからにひそむ罠,思考が固定されてしまうことの危険など18の視点からの考察)」,第2章「勝ち負けが気になる心理―社会的評価という魔物(なぜ男は社内人事にこだわるか,ジジイになる人ならない人の違いはなど20の視点からの考察)」,第3章「偉そうなオジさんはなぜ存在するのか―見下し行動にひそむ不安(成功する男にあるSOC(注:首尾一貫感覚≒人生の辻褄合わせのできる力),ダメな男はストレスを言い訳にするなど15の視点からの考察)」,第4章「女をバカにする男たち―組織に見る性差のジレンマ(前例がないを切り札にするジジイたち,根回しは悪弊ではなくコミュニケーションなど26の視点からの考察)」,第5章「しかし,オジさんたちが日本を救う―個の確立という幻想の向こうへ(信頼できる人がいるということの意味,赤ちゃんが笑うのはなぜか,頼れる人がいる人は脳も衰えにくいなど27の視点からの考察)」,終章「オジさんオバさんが輝く社会のために―フェイクSOCからやる気SOCへ(オッサンが輝く社会こそ希望があるなど4つの視点からの考察)」と含蓄のある1冊である。