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教育研究所

書評:小島宏の気になる1冊その849

河合雅司著「未来の年表―人口減少日本でこれから起きること」 (講談社現代新書 本体:780円)


 日本の少子高齢化は,未来のことではなく「現実」である。そして,「少子化」は解消されることなく,「高齢化」との関連で人口が減少して生き続けるという。いったい日本の「未来の処方箋」はあるのだろうか?

 この現象は,単なる労働力の減少ではないので,タレント評論家が言う「AI(人工知能)を搭載したロボット,AIの活用」や「移民の受け入れ」で解決できるものではないようだ。ではどうするのか?

 第1部「人口減少カレンダー」序:2016年出生数が100万人を切った,2022年ひとり暮らし社会が本格化する,2040年自治体の半数が消滅の危機に,2050年世界的な食糧危機に,2065年外国人が無人の国土を占拠するなど。第2部「日本を救う10の処方箋―次世代のために,いま取り組むこと」序:小さくとも輝く国になるための第5の選択肢,<戦略的に縮む>24時間社会からの脱却など,<豊かさを維持する>匠の技を活用など,<脱・東京一極集中>中高年の地方移住推進など,<少子化対策>第3子以降に1000万円給付,「おわりに―未来を担う君たちへ(未来を担う中学生や高校生へのメッセージ)」,「結びにかえて(日本の未来の年表は,想像以上に悪い方向に変わるかもしれない。...)」と,「日本(と世界)の平和と幸福な生活の持続」に向けて,当事者意識を持って考え,行動するいくつかのヒントを得るために,クリティカル・リーディングを条件に,一読を勧めたい。